「親から相続した空き家、どうしよう…」
「売却したほうがいいとは思うけど、デメリットもあるって聞くし…」
「売ったあとにトラブルになったら怖い…」

固定資産税や管理費もかかるから早く売りたいんだけど、不安だよ。
確かに、空き家の売却にはいくつかのデメリットがありますが、それらを事前に理解し、適切な対策を取ることで、不要なリスクを回避することができます。
この記事では、空き家売却のデメリットを具体的に解説し、それを回避するための方法を詳しくご紹介します。
- 空き家売却の際のデメリットや費用と、その防止・解決策



失敗しない売却を実現するために、ぜひ最後までお読みください!
手間・労力面でのデメリット


空き家売却は、以下のように、不動産業者探しや内覧対応、契約手続き等、時間と労力がかかるのが現実です。
- 不動産業者を探す手間がかかる
- 内覧対応がある
- 売却後の契約不適合責任を負う
- 売却前の登記
- 売却後の税務申告
それぞれの負担を軽減する方法と合わせて、解説していきます。
不動産業者を探す手間がかかる
空き家の売却では、信頼できる不動産業者を選ぶことが成功の鍵となります。
しかし、業者の数が多く、各社のサービスや手数料、実績などが異なるため、どの業者を選ぶべきか判断するのは容易ではありません。
一般に、不動産業者を決めるまでには、次のような手間がかかります。
- 複数の業者に査定を依頼
- 情報収集と比較
- 相性の確認



これだけでも負担に感じるね。
業者によって査定額やサービス内容が異なるため、1社ずつ調べるのは大きな負担ですよね。



一括査定サービスを使えば、負担を大幅に軽減できますよ!
一括査定サービスで査定した不動産業者の中から、物件を高く評価してくれる業者や、空き家売却の実績が豊富な業者を選ぶことで、手間を省けます。
業者探しの手間を減らしたいなら、一括査定サービスの活用を検討しましょう。
内覧対応がある
仲介で売却する際の内覧対応は、物件の魅力を直接アピールできる絶好の機会となります。
内覧の結果、購入希望者の不安を解消できれば、成約率を高めることができるからです。
その反面、もし清掃が行き届いていないと、購入希望者の購入意欲が失われる可能性もあります。



内覧がプラスに働く可能性も、マイナスに働く可能性もあるんだね。
購入希望者が物件に好印象をもってもらうために、部屋や水回りの清掃、庭の手入れが必要となります。
そのほかにも、購入希望者、不動産業者との内覧日の調整や、内覧当日の質問対応も必要となります。
いつまでも買い手がつかず、内覧の回数が増えていくほど、この負担が大きくなってきてしまいます。



内覧の負担を減らせる方法はないの?
内覧の負担を減らすための一般的な方法としては、不動産業者に内覧対応してもらうことです。
不動産業者に内覧を任せることができれば、日程調整も質問対応の負担がなくなるので、負担を減らせます。



大半の不動産業者は内覧対応してくれます。
さらに、掃除の負担を減らしたい場合は、動画や、360度VR内覧を利用する方法もあります。
そうすることで、掃除の回数を減らすことができます。



希望する場合は、対応が可能か、不動産業者に事前確認しましょう。
もし、内覧の手間を最大限に減らしたいと考える場合は、「仲介」ではなく不動産業者の「買取」に変更することで、内覧対応が不要となります。
ただし、買取の場合、売買価格が市場価格の5~8割程度に抑えられてしまうことに注意しましょう。
売却後の契約不適合責任を負う
不動産を売却した後に、事前に伝えていなかった欠陥(瑕疵(かし))が発覚した場合、買主から修繕や賠償を求められることがあります。
このように、売却した不動産が、契約書や重要事項説明書に記載された内容と違っていた場合に、売主が賠償等をする責任のことを「契約不適合責任」といいます。



契約不適合責任が問われやすい欠陥(瑕疵)は次の通りです。
- 雨漏りや水漏れ
- 床下のシロアリ被害
- 床の傾き
- 給排水設備の不具合
- 柱の腐敗
- 屋根や外壁の破損
- 地中の埋設物
ひとたび契約不適合責任も問題が発生すると、話がこじれて裁判になるケースもあります。



せっかく家が売れた後に、裁判になったら嫌だね!
そのような事態を避けるために、売主が事前にできることは次の通りです。
- 物件の状態を正確に把握し、契約書に明記する。
- 事前に住宅診断(インスペクション)を受ける。
- 契約に免責条項(契約不適合責任を負わない契約)を設ける。
- 仲介から買取に変更する。
重要なことは、透明性を持たせるということです。
把握している欠陥がある場合、買主にきちんと伝えないと、売却後にもっと大きな問題になってしまします。
契約後のトラブルを避けるためには、悪い点も事前に伝えるなど、誠実に対応することが重要です。
売却前の登記
不動産を売却できるのは、登記上の名義人のみです。
そのため、不動産を売却する際には、現在の所有者名で登記されていることを確認しておく必要があります。



もし、登記が親や祖父母のままになっているときは、どうしたらいいの?



事前に「相続登記」して、登記を自分名義にすれば大丈夫です。
相続登記は、相続人全員の登記簿謄本や印鑑証明書、遺産分割協議書等とともに、法務局に申請することでできます。
相続登記は個人でもできますが、必要書類を準備するのに時間と労力がかかるので、司法書士に依頼するのが一般的です。
売却後の確定申告
不動産を売却して利益が出た場合には、その利益に対して譲渡所得税が課されるため、確定申告が必要となります。



課税されるために確定申告するなんて嫌だな・・・。



特例を受けられる場合もありますよ。
売却した空き家が、相続や遺贈(いぞう)で取得したものであれば、「相続空き家の3,000万円控除」特例の適用が受けられる可能性があります。



利益が出なかったら確定申告はしなくていいの?
利益が出ていなければ、基本的に、確定申告の義務はありません。
ただ、他の所得と損益通算は可能なので、株の売却益等、ほかの利益がある場合には、確定申告することで節税できる可能性があります。



税の制度は複雑なので、税理士に相談するのが確実です。
税率等については、この記事の最後の方で解説します。
時間面でのデメリット


売却までの期間が読めない
空き家の売却には、立地条件や市場の需要、老朽化の程度等、様々な要因に左右されます。
そのため、売却までの期間を正確に予測するのは難しく、これがストレスになることもあります。



売れるまでどれくらいの時間がかかるの?



平均は3~6か月程度と言われています。
例えば、東京都内の住宅地にある築10年の空き家は、売却までの平均期間が3か月程度です。
一方、2022年の国土交通省の調査によると、地方にある空き家の約40%が売却までに1年以上を要しているというデータがあります。



どうすれば早く売れるのかな?
早く売れるための対策として、次のようなことが挙げられます。
- 価格設定を見直す(または「価格交渉の余地あり」と記載する)。
- 手入れやリフォームで、買い手に安心感を与える。
- 不動産業者を変更する。
- 「仲介」から「買取」に変更する。
特に、「買取」にすれば、不動産業者が直接買い取るため、買主を探す時間も不要となり、1か月程度で売却することも可能です。
ただし、仲介の時よりも売却価格が下がる(5~8割程度)ことには留意しましょう。
仲介と買取の違いについては、こちらで詳しく説明しています。(この記事の最後からもリンクで見られます。)


費用面でのデメリット


不動産売却には、さまざまな費用が発生します。
売却が完了するまでに必要なコストを把握しておかないと、予想以上の出費に驚くことになるので、費用を抑える方法を理解し、できるだけ出費を抑える工夫をしましょう。
- 仲介手数料・諸費用が発生する
- 売却まで固定資産税の負担がある
- 修繕・リフォーム費用がかかる
- 残置物処分費用がかかる
- 測量費用がかかる場合がある
- 登記関連費用がかかる
- 譲渡所得税がかかる



軽減する方法もご紹介していきます!
仲介手数料・諸費用が発生する
不動産売却(仲介)では、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
宅建業法では、2024年7月以降、仲介手数料の上限が次の通り定められています。
取引価格 | 仲介手数料の上限(税抜) |
---|---|
800万円以下 | 30万円 |
800万円超 | 取引価格の3%+6万円 |



結構お金がかかるんだね。
ここで注意したいのは、上記の金額は、あくまで上限であるということです。
仲介手数料の割引サービスを実施している不動産業者を選べば、万円単位での節約が可能です。
また、状態のよくない空き家であれば、買い手も見つかりにくいので、不動産業者に「買取」をお願いすれば、そもそも仲介手数料がかかりません。
不動産業者を探す際は、仲介手数料も確認するようにしましょう。
売却まで固定資産税の負担がある
不動産を所有している間は、毎年固定資産税を支払う必要があります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に納税義務が生じるので、年末年始頃に売却できそうな場合は、できるだけ年末までに売るようにしましょう。



その年の固定資産税が課税された後であっても、空き家の引渡し日をもって固定資産税を案分する方法もあるので、契約の際には不動産業者に相談してみましょう。
修繕・リフォーム費用がかかる
不動産を売却する際、見栄えを良くしてより高く売るために修繕やリフォームを検討するケースがあります。
修繕の規模と費用の目安は次の通りです。
修繕の程度 | 費用相場 |
---|---|
軽微 | 数万円~数十万円 |
中程度 | 数十万円~100万円程度 |
大規模 | 100万円以上 |
ただし、リフォーム費用が売却価格に見合わない場合、結果的にコスト負担が大きくなってしまうこともあるので注意が必要です。
不動産業者とも相談しながら、売却につながりやすい修繕・リフォームから、少しずつ行うようにしましょう。
残置物処分費用がかかる
売却する空き家に家具や家電、雑貨などが残っている場合、処分費用が発生します。
残置物の量が多く、業者に依頼する場合の費用は、部屋の広さや残置物の量によりますが、1立方メートルあたり約3,000円から10,000円が相場です。



50㎡なら15万円~50万円程度だね。
処分費用を抑える方法として、自治体の粗大ごみ回収を利用すれば、比較的安価に処分できる場合があります。
また、価値のある家具や家電はリサイクルショップに売れば、処分費用を抑えるだけでなく、収益も入って一石二鳥です。
測量費用がかかる場合がある
不動産の取引では、土地の境界がはっきりしていない場合、買い手がつくことはほとんどありません。



境界問題で揉めてる土地を買いたい人っていないですよね。
国土交通省の調査によると、土地付き空き家の売却の約60%で測量が必要になるとされています。
そのため、空き家を売却する際には、まず、土地の境界が確定しているか確認するようにしましょう。



境界が確定しているかどうかは、どうやって確認すればいいの?



現地に境界杭(鋲)があるか確認しましょう。
法務局で地積測量図を取得することもできます。
境界杭や地積測量図がない場合、境界が確定している可能性は低いので、土地家屋調査士に確定測量を依頼する必要があります。
測量にかかる費用の目安は次の通りです。
測量の種類 | 費用相場 |
---|---|
現況測量(土地の現状を測る) | 10万円~30万円 |
確定測量(隣地との境界を確定する) | 30万円~80万円 |
土地が広い場合・不整形の場合 | 50万円~ |



確定測量の費用の中には、現況測量分も含まれていますよ!
実際には、土地の広さや、誰(行政または民間)の土地かなどの要因で費用は変わってきますので、土地家屋調査士に事前に確認するようにしましょう。
この費用を抑えられるかどうかは、土地家屋調査士との相談次第となりますが、隣地の所有者と良好な関係を築いておけば、揉めることなくスムーズに境界を確定できるので、早期の売却につなげる(=維持管理費の低減)ことができます。
登記関連費用がかかる
空き家を売却すると、所有権を買主に移転するための登記(所有権移転登記)が必要となります。



まず、必ず発生する手続に関する費用をご案内します。
印紙税の場合、例えば契約金額が500万円だと、1万円(軽減措置が適用される場合あり)かかります。



その他にかかる可能性のある費用は次の通りです。
前提登記 | 費用相場 |
---|---|
相続登記 | 5万円~10万円程度 |
抵当権抹消登記 | 1~2万円程度 |
住所変更登記 | 1~3万円程度 |
各登記については、自分自身で申請することもできるので、費用を抑えることができます。
登記の準備書類は要件が厳しいので、必要書類を事前によく確認して、法務局の窓口に行く回数を抑えられるようにしましょう。



必要書類は法務局に確認しながら準備しましょう。
必要書類の準備には手間と時間がかかりますし、不備があれば何度もやり直しになるので、時間のない人は司法書士に依頼するのが無難です。
譲渡所得税がかかる
不動産を売却して利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して「譲渡所得税」が課税されます。
譲渡所得は、次の式で計算されます。



この譲渡所属税を抑えられる制度があります!
その制度は「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」と言います。
この制度の適用が受けれれば、譲渡所得が3000万円以下の場合は、結果として譲渡所得税がかからなくなります。
特例を受けられる条件は次の通りです。
- 1981年5月31日以前に建てられた一戸建て住宅であること
- 相続開始から売却までの間、居住や賃貸などで活用していないこと
- 現行の耐震基準を満たしていること
- 相続から3年以内に売却すること
- 売却価格が1億円以下であること



詳しくは税理士に確認してください!



僕はこの条件に当てはまらないよ・・・。



空き家の所有期間が5年を超えると税率を下げることができますよ。
譲渡所得に対する税率は、所有期間によって違います。
- 所有期間が5年以下の場合:39.63%
- 所有期間が5年超の場合 :20.315%
例えば、売買価格が1千万円、取得費300万円、譲渡費用50万円の場合、譲渡所得は650万円となります。そのため、
所有期間が5年以下の時の譲渡所得税は約257万円、5年超の場合は約132万円と、大きな差があります。



所有期間の違いだけで、税額が100万円以上違うこともあるんだね!
空き家の維持費や、売却予定価格等を踏まえて、所有期間が5年を超えるように、売買時期を調整するのも一つの方法です。
まとめ
不動産売却には以下のような手間やコストがかかるものの、工夫次第で負担を軽減できます。
- 不動産売却には多くの手間と労力がかかる
- 不動産業者探しや内覧対応、契約不適合責任などの負担が発生
- 売却後の登記や税務申告も必要
- 売却までの期間は予測が難しく、時間がかかる可能性がある
- 仲介手数料や税金、修繕費など費用面の負担も大きい
- 一括査定や買取を活用すれば負担を軽減できる
- 税金対策として特例制度の適用を確認することが重要



デメリットと対策をしっかり把握し、後悔のない売却をしましょう!
QA

